輸出向けHACCP等対応施設整備補助金|食品事業者が知っておくべき概要と実務ポイント

輸出向けHACCP等対応施設整備補助金|食品事業者が知っておくべき概要と実務ポイント

食品輸出を本格的に進めたい事業者にとって、HACCPや国際基準への対応は避けて通れません。
農林水産省が実施する「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業」は、まさにそのための補助金です。

Re・Labでは、実際に複数の支援実績のあるコンサルタントがおり、JFS-BやHACCPコンサルティングの経験を活かして申請支援を行っています。

この記事では、補助金の概要に加え、実務で役立つノウハウを交えて解説します。

1. 補助目的と概要

この補助金はその名の通り、国内流通向けではなく近年人気の日本食ブームに則り、海外向けの輸出に必要な設備や施設の設置を応援します。

  • 日本の食品を海外に安定供給するため、HACCP対応施設国際基準認証対応施設の整備を支援
  • HACCP・JFS-B・ISO22000など食品安全規格への準拠
  • ハラールやコーシャ対応の専用設備整備
  • 加工・包装・冷凍冷蔵の国際基準対応

2. 補助額と補助率

この補助金の魅力は、事業内容と補助内容が合致していれば経済産業省系の補助金よりも大きな補助額が見込める点です。また補助対象者も中小企業・大企業問わずに申請できるところがポイントです。

  • 補助率:1/2以内
  • 上限額:5億円(年度により変動)
  • 対象経費:施設改修費、設備導入費、付帯工事費 など

3. 補助対象となる設備の例

一般的に、本補助金の申請対象となるような設備や建物は以下のとおりです。

  • HACCP対応の加工ライン
  • クリーンルーム、防虫・防鼠対策設備
  • 金属検出機、X線異物検出機
  • 温度管理システム(急速冷却機、冷凍冷蔵設備)
  • ハラール認証専用厨房・調理室

Re・Labでは、菓子メーカーの申請支援において、HACCP対応工場に必要な設備の妥当性を説明する書類を作成。
JFS監査員資格を持つコンサルタントが現場の動線や危害要因分析に基づき、なぜその設備が必要かを具体的に示しました。

4. 申請に必要な書類

事業計画書は輸出事業計画書と言い、具体的な今後3~5か年の輸出国やパートナー企業などについて、どのような市場環境か?どのような輸出規制があるか?どのような商談が進んでいるか?といったことを記載していきます。

  • 事業計画書(輸出戦略・対象国・取引先候補を明記)
  • 施設整備計画書(導入設備、レイアウト、防虫防鼠計画など)
  • 見積書(設備業者からの正式見積)
  • 収支計画書(補助金・自己資金・融資の内訳)
  • 輸出拡大の証拠資料(商談記録、発注書、MOUなど)
  • HACCP/JFS-B等認証取得計画書

5. 申請フローチャート(実務の流れ)

農水省系の補助金の多くは「間接補助金」と言って、事業を実施する都道府県や市町村を介して申請、交付がされます。そのため、事業計画の策定には各自治体の「予算」を取ってから国に対して自治体が「補助金の交付申請」をする建付けですので、「要望調査」と言う補助金の活用意思のある企業の有無の確認を経てから申請に向けて書類を作っていくことになります。

【STEP1】公募要領の確認
   ↓
【STEP2】導入予定設備の検討
(例:急速冷却機・X線検査機)
   ↓
【STEP3】都道府県もしくは市町村への要望調査
   ↓
【STEP4】事業計画書・施設整備計画書の作成
(HACCPコンサルの視点で設備必要性を説明)
   ↓
【STEP5】輸出戦略・証拠資料を添付
   ↓
【STEP6】自治体・団体の予算を取得
   ↓
【STEP7】申請書提出
   ↓
【STEP8】採択 → 交付申請 → 事業実施
   ↓
【STEP9】実績報告(導入設備・輸出成果)

6. かかり増し経費(補助対象外となりやすい費用)

この補助金特有の言葉で「かかりまし経費」というものがあります。これはあくまでこの補助金が輸出に必要な設備に限っていることから、建物全体が補助対象になるわけではなく、輸出に直接関係のない施設や設備の補助金額を全体から除却する補助対象外経費を定めるものです。具体的には、

  • 会議室や社長室の設置、改修
  • 建物の基礎や柱の様な躯体(製造現場の床や壁、天井は補助対象)
  • 一般的な事務機器(PC、プリンターなど)
  • 製造に直結しない車両や什器
  • 認証取得後の維持費(監査更新費用)

👉 この点を誤解して申請すると、交付決定後に経費削除され、自己負担が膨らむリスクがあります。
Re・Labでは、これまでの申請経験をもとに対象経費と対象外経費の切り分けを行い、安心して申請を進められるように支援しています。まずは建設会社さんや機械商社さんともミーティングをして見積もりのチェックなどをさせていただきます。

7. Re・Labの強み

  • JFS-B監査員資格を持つ専門家が在籍し、申請書における設備の必要性を科学的・実務的に説明可能
  • これまで複数の食品事業者の支援実績あり
  • ハラール認証や国際規格対応のコンサルティング
  • 小ロット試作サービスにより輸出対応商品の事前検証が可能
  • 海外展開のパートナー企業とのネットワークを活かした販路開拓支援

まとめ

「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備補助金」は、輸出を目指す食品事業者にとって極めて重要な制度です。
しかし、必要な書類や説明は高度であり、単なる設備導入計画ではなく、国際基準に即した実務的な根拠が求められます。

Re・Labは、HACCP・JFS-Bコンサル経験と申請支援実績を活かし、単なる書類作成ではなく、現場に即した計画づくりから海外展開までを支援します。

お問い合わせ先
合同会社Re・Lab 補助金コンサルティング 担当
TEL : 050-1808-8090