食品・農業事業者が知っておくべき「農林水産省系補助金」の魅力と活用法

私たちのコンサルタントにはこれまで、製茶工場、輸出対応施設、HACCP認証取得工場、農産物の6次産業化プロジェクトなど、数多くの食品・農業系事業に携わってきました。
今回は、食品や農業分野で事業を展開している方にぜひ知っていただきたい「農林水産省系補助金」について、少し深掘りしてお話しします。
なぜ今、農水省系補助金なのか?
農林水産省系の補助金は、地域農業や食品産業の競争力を高めるための制度。
経済産業省系の補助金が全国一律の評価基準で競争するのに対して、農水系は「地域の農業政策や特性に合っているか」が重視されます。
そのため、中小企業~大企業まで規模を問わずに事業目的が達成できる事業であれば広く補助対象になりえます。
つまり、地域の生産者や自治体としっかり連携して計画を作れば、採択の可能性が高まるのです。
しかも、HACCPや輸出対応施設、加工・保管設備など、食品関連の大規模投資に強いのも大きな魅力。
ただ、そのプロセスは親しみのある経産省系の補助金とは全く異なるため、みなさん諦めてしまうことが多くあります。
農水省系の補助金の申請プロセスとはどんなものなのでしょうか?
農水省系補助金の申請プロセスをざっくり紹介
- 制度チェック
国の公募要領をもとに、都道府県や自治体の農政課・農業団体が詳細な公募案内を発表します。 - 事前相談
まずは自治体や農業団体に「こんな事業をやりたい」と相談。ここで地域方針との整合性を確認します。 - 申請書作成
設備仕様書、見積書、資金計画などを揃え、事業計画に落とし込みます。 - 自治体へ提出 → 国へ推薦
地域で推薦された案件が国に送られます。 - 審査・現地確認
書面だけでなく、実際の現場を見に来るケースもあります。 - 採択・交付申請 → 工事開始
採択後に交付申請、契約、着工という流れです。
農林水産省系と経済産業省系補助金の違いと活用のコツ
補助金は同じ「国の制度」でも、所管省庁によって性格や評価軸が大きく異なります。
特に、食品・農業分野では農林水産省系の補助金をうまく使えるかどうかが、事業拡大のカギになります。
区分 | 農林水産省系補助金 | 経済産業省系補助金 |
---|---|---|
目的 | 地域農業・食品産業の発展、輸出促進、衛生管理強化 | 産業競争力強化、新事業創出、製造業・サービス業の高度化 |
主な対象 | 農業法人、食品製造業者、農産加工業者、漁業組合 | 中小企業、スタートアップ、製造業、サービス業、IT事業者など |
補助対象経費 | HACCP・ハラール対応施設、加工・保管設備、農業機械、6次産業化設備、販路拡大費用 | 新製品・サービス開発、省力化・自動化設備、IT導入、海外展開、販路開拓 |
申請ルート | 地方自治体や農業団体を介する間接補助金が多い | 全国事務局へ直接申請する直接補助金が多い |
評価軸 | 地域政策との整合性、地域貢献度、現場確認重視 | 付加価値額増加、賃上げ達成度、全国一律評価 |
食品事業者のニーズに対応した大規模投資が魅力
農林水産省系の補助金は、食品・農業分野の中でも特に補助額が大きいという特徴があります。背景には、次のような要因があります。
1. 老朽化した食品・農業施設の更新需要
日本各地の食品加工場や農業関連施設は、建設から30〜40年が経過したものが多く、衛生基準や省エネ性能、作業効率の面で現代のニーズに合わなくなっています。こうした施設更新は数千万円〜数十億円規模の投資が必要であり、農水省系補助金はこうした大規模設備更新を強力に後押しします。
2. 食品の安定供給体制の確保
食の安全・安定供給は国家戦略上も重要な課題です。特に近年は災害や国際情勢による供給リスクが増しており、国内での生産・加工・保管能力の強化が求められています。農水省系補助金は、こうした社会的使命を持つ事業に対し、優先的かつ手厚い支援を行います。
3. 輸出を見据えた国際競争力の強化
農水省系補助金は、海外市場への輸出拡大を見据えた設備投資も積極的に支援します。HACCPやハラール認証対応、輸出国の検疫基準を満たすための施設整備など、国際規格に準じた投資は高額になりがちですが、補助率の高さと上限額の大きさで事業者の負担を軽減します。
食品・農業事業者が大規模設備更新や輸出対応を検討する際、農水省系の補助金は非常に魅力的です。単なる資金援助にとどまらず、国の食料安全保障や国際競争力強化という視点から後押しされる制度であるため、採択される意義も大きいと言えます。
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